大正区の猫たちに会ってきました。（前編）

　大正区を散歩しました。




　いつものことですが平和を乱してしまいます。




　それにしても彼は一体どこに向かうのでしょうか。




　庇の上など安全なはずなのですが、




　わたくしが平和を乱していることを全身で訴えます。




　それにしても彼女は一体どこに向かうのでしょうか。




　わしは平和なままやで。




　せやからどこへも向かわへんねん。




　二階から見下ろす猫たちも、




　やはり平和を乱されて怒っているようですが、




　いまさらあらためて向かう場所も思いつきません。




　うちかいな。




　うちはどこへも向かわへんで。




　て言いながら、ねえさん、ぼくのほうに向かって来てるやんか。




　向かうんやのぉて、そこがうちの場所なんや。




　乱された平和を、




　うちが取り戻したるんよ。




　僕はその場所を取り戻したい。




　まあ、少なくともこの界隈は平和や言うこっちゃ。




　平和。




　自由に動けるぼくは平和やけど、




　籠のなかのぼくは向かう場所がない。




　それでも実はおっちゃんと遊びたかったんや。




　平和を乱すといいながら、




　実はわたくしと遊びたい猫たちなのでした。




　都合のええよぉに考えすぎや。




　ほっといたら、このおっさんは、いったいどこへ向かうんやろ。（後篇に続く）