西区の猫たちに会ってきました。（後篇）

　動きの素早い黒さんに翻弄されたあとも散歩を続けます。



　猫時計がありますね。伊賀の忍術書には猫に瞳の大きさで時刻を計る方法が記載されています。



　黒さんが溝の中に座っています。



　猫撮りに気付いたようです。



　気付かぬふりをしてじっとしゃがみこみ、相手をやり過ごします。これをうずら隠れの術といいます。



　なあ猫撮りさんよ。



　あんた、そんだけ騒々しかったら忍者には向かんな。



　忍びは常に人をだますことを考えます。当然この隙間を抜けていくと見せかけて、



　その気配をわざと残したまま、



　別の道をたどるなどは常識です。



　もちろん忍術には闘争術もふくまれます。物陰から音もなくあらわれ、



　公園のフェンスに飛び乗り、



　標的をたおします。



　平和な猫たちにも目を向けてみましょう。



　黒白さんが首を掻いています。このように油断していると忍びには向きません。



　三毛さんはいじらしいですね。



　少しでも、



　黒白さんの近くで、



　くつろぎたいんですね。



　しかし、すぐれた忍びになるには恩愛の情を断たねばなりません。非常にきびしいっ。



　くさむらや物陰をうまく使うことは、もちろん優れた忍びに求められることです。



　キジさんがいます。ひょっとすると黒猫さんの変装かもしれません。忍者の変装を七方出といいます。



　友好的な一面を見せて相手を油断させるのも大事です。



　素人の猫撮りなんか軽いもんや。



　待てよ。



　おぬし今、一瞬気配を消したな。



　さてはただの猫撮りおやじやないな。



　かわいそうやが、禍根は断っておくか。ずん。うげ。



　忍びには非情さも求められるのです。あれ？わたくしやられてしまいましたか。念のための申しますが、みなさん平和な猫さんですから。西区の猫たち、また会いましょう。